【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
怒ったようになり芽衣は急に椅子から立ち上がった。
「わ、私、あなたのくだらない話に付き合う気はないですから…失礼します!」
ムッとしてテーブルから離れようとしていたら、梨田の声が追いかけてくる。
「芽衣さぁ、その感じだと本当に不倫でもしていたのか?」
「いい加減にしてっ!!」
ついに大声を出してしまった。
周囲の人々が芽衣を注目していた。
あっ、どうしよう。
皆に見られてる。
職場の人にも相談しにきている客にも注目されていた。
狼狽えつつ、どうしようもなくて芽衣は立ち尽くすだけになってしまっていた。
そんな芽衣を眺めながら、梨田はゆっくり立ち上がる。
芽衣のとなりまで来ると梨田は芽衣の肩にポンと手を置いた。
「芽衣の今の感じ、いいじゃん」
芽衣だけに聞こえるような声で梨田が言う。
「……」
「これからは言いたいことを言えよ、芽衣」
梨田は芽衣の耳もとに顔を寄せる。
「周りを気にするような恋愛は、どうせうまくいかなかっただろ? それにさ真面目な芽衣に、そんな恋愛はすごく違和感がある」
なんでもお見通しな占い師みたいに言ってくる梨田に芽衣は、ひどく苛立ちを覚えた。
「知らないくせに勝手なことを自信満々に言うのはやめて」
「間違ってる? なら教えてくれよ。どこが違うのか。…ああ、だけどなるべく細かくな」