【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「何かわからない? 2回目のデートの誘いだよ
」
「だから、行きませんよ」
「どうして。楽しいぞ」
「行きません」
「なんで? ふーん、どうしても行かないっていうんなら」
ガタンと大きな音を立てて椅子から立ち上がる梨田。
また、皆の視線を集めている。
「買う気がある客を毛嫌いするなんてさ〜全くここは、どうなってんだよ。もう、いい。頼まないよっ」
言い捨てるような言い方をした梨田は、怒ったように歩きだし出入り口のドアの方へ向かっていく。
何あれ。
下手な芝居して。
心配そうに様子を窺っていた山本チーフが、ボケっとして座っている芽衣のところへ早足でやってきた。
「田中さん、何してるの、早く追いかけて!お客様の怒りを鎮めてきなさい!」
椅子から芽衣を立たせるチーフ。
「あ、でもあの人は…」
「いい訳はいらないから。早く追いかけてっ」
仕方なく急いで梨田の後を追いかけ、芽衣は自動ドアから外へ出た。
「梨田さんっ」
呼びながら辺りに梨田の姿を探した。