【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!

誰との思い出だろう。

どうせ、過去に私と同じように東洋のドーバーをみせて夕日を見た後、一緒に刺身定食を食べた女でもいたのだろう。

だから、モテ男は嫌い。

女の影がちらついて見えてしまうから。私だけの人じゃないって気付かされてしまう。

惨めになるのも沢山。


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海沿いの道路にポツンと立つ食堂。

「うまそう、食べよう。いただきます」
手を合わせてから、湯気の立つ豚汁の入ったお椀を持つ梨田。

「いただきます」
お椀を持ち上げ芽衣も一口豚汁を飲んだ。

温かい豚汁が身体の細部に染み渡る。

「うまっ。やっぱり日本人は味噌汁だな」

梨田がハーフ顔に似合わない事をいうので、おかしくなって芽衣はクスクス笑った。

「顔に似合わない事を言うのね」

「良く言われる。でもさ、俺は和風なものも好きなんだ。畳に布団敷いて寝てるし」

「え〜似合わない」

「本当だよ。疑うなら今夜見に来てみる?」
豪快にごはんを口へ放り込みながら平然と言う梨田。

「行くと思う?」

「思う」
顔を前に突き出して、梨田は自信ありげに笑う。

「あり得ないわよ」
芽衣は、お椀を置いて鯛の刺身を醤油につけた。

「つまんなくない? 」

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