【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「え?」

「たまにはさ、芽衣もあり得ないような事をしてみればいいのに」
口を忙しく動かしながら、梨田はチラッと芽衣を見た。

「しない」

「なんでだよ、つまんないなぁ。そうだ。芽衣にさ、俺の宝物見せたいんだよ。食べたら、うちに来ない?」
性懲りもなく家に誘う梨田の気力には恐れ入る。

「いかない」

「チェッ、信用ないんだな俺って。さっき居眠りしてる芽衣に何もしなかったっていうのに」

「しないのが当たり前よ」

「そうかなぁ。いつもだったらキスぐらいはさ、とっくにしてるんけどな」

「……」

聞かなかったことにしたい。
手が早いモテ男の話なんて。

呆れながら芽衣は、お椀に手をかけ豚汁に口をつけた。

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