【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!

マンションまで梨田に送ってもらうのは、なんとなく抵抗があった芽衣は、近くのコンビニで車から降りた。

わざわざ運転席から回って来た梨田は、
「家まで送らせてもくれないんだな」
と芽衣に文句を言った。

「だって、私はあなたを信用してませんから」

「おっ、言うねぇ。俺さ気の強い女って好きだなぁ」
梨田は、おもむろに両手を広げた。

「じゃ、ハグして今夜は終わろっか」

「しないわよ。ハグなんか…なんで、ハグ」
後ろに一歩下がった芽衣。

梨田は、そんな芽衣に構わずどんどん近づいてくる。
ハグなんて冗談じゃない!

芽衣の気持ちを無視して梨田は、両手を広げた。
「ちょっと!」
芽衣をぎゅっとハグして梨田は囁いた。

「気をつけて帰れよ。今日は送れないんだから」

芽衣から潔く離れた梨田は、芽衣の頭をポンポンと撫でるようにした。

「今度こそ俺の家においで。3回目のデートこそは、家デートにしよう」

「もう、デートはしないわ。あなたもいい加減他の人にしなさいよ」

「俺は芽衣がいーの」
芽衣の肩に手を置いてじっと芽衣の瞳を見つめる梨田。
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