【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
梨田はスポーツドリンクのフタを開けてゴクリと飲んで喉を落ちつかせると、改めて芽衣をみた。
「はぁ〜…芽衣、サンキューな。うちにまで来てくれて嬉しいよ。俺のことを心配してくれたんだ?」
芽衣は、聞いてないような素振りでダイニングテーブルに買ってきたものを並べる。
「何が食べたいかわからないから、適当に買ってきました」
「ん〜どれどれ?」
芽衣のそばまで来て、梨田はテーブルの上に並んだプリンやゼリー、ミカンの缶詰やらを手に取り眺めた。
「俺は、やっぱり…」
梨田はすばやく腕を伸ばし芽衣を横からハグする。
「芽衣がいいな」
芽衣の肩に梨田は顎をのせ、芽衣のようすを窺っていた。
「ちょっ、ちょっと! 離れて! 今日来たのは、そっ、そういうのじゃないの。私が来たのは、ただのお見舞いっ、お見舞いだから」
芽衣は、とても顔を赤くして梨田の腕から逃げて目をそらした。
「ごほっ…ありがと。芽衣が来てくれたらさ、もう俺は久々に…もう、あちこちがさ、ごほっごほっ…元気になったんけど」
両手を上げ腕をまくりボディビルダーみたいなポーズを取って、梨田は芽衣に腕の筋肉をみせた。
それも、いっときのことですぐに咳をしてしまう梨田を芽衣は、心配そうに見つめる。