甘え下手の『大丈夫』
「それはそうと、梶まゆ、結婚式の日取りとか決まったのか?」

エイヒレをかじりながら橋本くんが話をふった。

「ん?10月くらいって話をしてるんだけど、まだはっきりとは…。向こうも忙しいしね」

苦笑いの真由香の相手は、営業部のエース、森田課長だ。
営業アシスタントとして彼を支えてきた真由香に、『オレの人生も支えてくれ。その分全力でお前を守るから』とプロポーズされたと、前回の同期会で報告された。

「しかし、森田課長が、どんな顔してあんなプロポーズのセリフを言ったんだか想像できないな。なっ?筧もそう思うだろ?」

「ん?うーん、できないとゆうよりかしたくない…」

無表情で答える筧くんに、真由香は、『ちょっと失礼じゃない?』と頬をふくらませていた。

「忙しいだろうけど、いろいろ一緒に決めてもらいなよ?二人の大事なことなんだし。よく、それでケンカして結婚してからも根にもっちゃうなんて聞くし」

「うん、大丈夫。ちゃんと話し合ってるよ。いろいろ聞いてくれるし、優しいもん、敦さん」

へにゃーっって音がするくらい、頬がゆるんだ真由香は本当に幸せそう。

「敦さんて…気持ち悪っ!…いてっ!」

橋本くん、それは蹴られるよ…

本当に橋本くんと真由香のコンビは面白い。
笑いながら、楽しいお酒はどんどんすすむ。
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