瀬名先輩は王子様
公園のベンチで


やっぱり、瀬名先輩は王子様だ。


近所の公園のベンチに座ると、コーンスナックの袋を開けて、

「一緒に食べよう」

私に、そう言ったのだ。


幻の王冠がキラーンと輝いて見えた。


瀬名先輩はこのCのかたちのコーンスナックを独り占めしよう、なんて、思ってなかった。きっと、幸せを分かち合いたいタイプ。私も瀬名先輩と幸せを分かち合いたい。


「いいんですか?」


「うん、いいよ」


「私、子供の頃からこれが好きで。お父さんと弟とテレビで野球中継を見ながらずっと食べてたんです」


「俺もそう。子供の頃からこれが好き。親父とサッカー中継見ながらよく食べてたんだ」


しまった。サッカー部の瀬名先輩に野球の話をしてしまった。


「野球好きなの?」


「はい。お父さんの影響で。でも、今は、サッカーの方が、ずっとずっと好きです」


「へえ、なんか嬉しいな」


瀬名先輩が笑った。それだけで、すごくハッピーな気持ちになれた。



< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop