【短編】雨と先輩
「ごめんね、あたし話しながらやったほうかわ捗るから話しかけちゃうんだ」


「好きにしたらいいわ」



呆れ顔で答えてくれる。



「近藤さんってすっごく綺麗は顔してるよね!女子って感じで羨ましい」


「あたしは鳥海さんの方が羨ましいけど」


「へ?」



高嶺の花の近藤さんに言われて、間抜けそうな声が出てしまう。



「誰とでもこうして分け隔てなく話せるの、鳥海さんのいいとこじゃない」


「あは。そう言われると嬉しい」



近藤さんの照れ隠しなんだろうな。
さっきまでの表情とか。
そう分かるととても嬉しい。



あ、鳥海っていうのはあたしのことだ。
鳥海栞。



「栞ー、終わる?」



ガラっと教室に入ってくる音と声。



「旬くん。もう少しだから待ってて」


「おう、そこにいるな」



旬くんが近藤さんにペコッて頭を下げて出ていく。



「今のは?」



珍しくあたしの周りに興味を持つ近藤さん。

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