通学電車、帰り道。
「あ、危ない」

「え」

織田君に手首を握られて、目の前を車がギュンと横切った。
あ、お、横断歩道……!?
さっき青だと思っていた信号は赤になっていた。

「こ、こわ……」

「な」

冷や汗が流れるほど怖かったけど、恥ずかしさと緊張で、まともなリアクションが取れないでいると、織田君も薄い反応で頷くだけ。

……だけど、腕が。
大きな手に、掴まれた私の腕が。

するっと織田君の手が離れようとした。

「あ、待って……手……」


離れるのが名残惜しくて、織田君の指をぎゅっと握った。

つないでも、いい……?

すると、織田君は、ぎゅっと握り返してくれた。
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