散歩道
『仕方ないなぁ。ちょっとだからな?』
彼はいつも、私のわがままを受け入れてくれる。
だめだと言われたことは、一度だってなかった。
『仕方ないなぁ』
誠也さんはいつもそう言って困ったように優しく笑うんだ。
公園のベンチに腰をかけた私は、空を見上げた。
昼間だから星は出ていないが、青白い月がうっすらとうかんで見える。
あの時もこのベンチに座り、同じように空を見上げていた。
あの時は誠也さんが私の隣に座っていたのに、今は誰もいない。
公園の花壇に咲いていた向日葵が今は、チューリップになっている。
そんな変化に、時の経過を感じる。
経った時間の分だけ、私には新しい記憶が刻まれている。
それに平行して、誠也さんとの想い出が薄れていく気がした。
私はそれが嫌で、たまにこうして思い出巡りをする。
早く忘れようと思うのに、どうしても無理みたいだ。
『麻里?』
急に横から声がして、私は視線を空から声のした方へと移した。
『やっぱり。麻里だ。こんなところで何してんのさ?』
移した視線の先にいたのは、夏紀だった。
夏紀は、小・中学校が一緒だった言わば幼なじみで。
高校は違うけれど、今でも一ヶ月に一度は遊ぶくらいの仲。
『夏紀こそ、何してんの?』
『いや私は、部活の帰り。で、あんたは何?』
『えっ私は…まぁ、散歩かな』
『ははっ。散歩!?夕暮れ時に一人で!?もしや麻里さん。彼氏と別れました?』
何気ない言葉に、私の胸はちくりとした。
こんな普通の会話も、今の私には衝撃が大きかった。
『…』
『えっ!?ごめん!!本当にそんなんだとは思わなくて』
何も言わない私に、夏紀は思い切り謝った。
本当に別れたと思ったらしい。
『ううん。ってか彼氏いないし』
『そうなん?何も言わないからびっくりしたじゃん』
『ごめん、ごめん。ちょっと驚かせてみた』
無理矢理笑った。
そうしないと、今にも涙が溢れてきそうだった。
『最悪〜!!でもよかった。そうゆう系じゃなくて。ねぇ、ちょっと話しよ』
そう言って夏紀は、私の隣に座ろうとした。
彼はいつも、私のわがままを受け入れてくれる。
だめだと言われたことは、一度だってなかった。
『仕方ないなぁ』
誠也さんはいつもそう言って困ったように優しく笑うんだ。
公園のベンチに腰をかけた私は、空を見上げた。
昼間だから星は出ていないが、青白い月がうっすらとうかんで見える。
あの時もこのベンチに座り、同じように空を見上げていた。
あの時は誠也さんが私の隣に座っていたのに、今は誰もいない。
公園の花壇に咲いていた向日葵が今は、チューリップになっている。
そんな変化に、時の経過を感じる。
経った時間の分だけ、私には新しい記憶が刻まれている。
それに平行して、誠也さんとの想い出が薄れていく気がした。
私はそれが嫌で、たまにこうして思い出巡りをする。
早く忘れようと思うのに、どうしても無理みたいだ。
『麻里?』
急に横から声がして、私は視線を空から声のした方へと移した。
『やっぱり。麻里だ。こんなところで何してんのさ?』
移した視線の先にいたのは、夏紀だった。
夏紀は、小・中学校が一緒だった言わば幼なじみで。
高校は違うけれど、今でも一ヶ月に一度は遊ぶくらいの仲。
『夏紀こそ、何してんの?』
『いや私は、部活の帰り。で、あんたは何?』
『えっ私は…まぁ、散歩かな』
『ははっ。散歩!?夕暮れ時に一人で!?もしや麻里さん。彼氏と別れました?』
何気ない言葉に、私の胸はちくりとした。
こんな普通の会話も、今の私には衝撃が大きかった。
『…』
『えっ!?ごめん!!本当にそんなんだとは思わなくて』
何も言わない私に、夏紀は思い切り謝った。
本当に別れたと思ったらしい。
『ううん。ってか彼氏いないし』
『そうなん?何も言わないからびっくりしたじゃん』
『ごめん、ごめん。ちょっと驚かせてみた』
無理矢理笑った。
そうしないと、今にも涙が溢れてきそうだった。
『最悪〜!!でもよかった。そうゆう系じゃなくて。ねぇ、ちょっと話しよ』
そう言って夏紀は、私の隣に座ろうとした。