散歩道
『おっと。シカトですよ、大輔さん』

そんな私をおもしろがって、奈美がからかう。

『麻里ちゃん。いつからそんな悪い子になっちゃったの?』

そしてまた、それに便乗して大輔がふざける。
まったく…
バカの連鎖は止まらない。

『…』

それでも私は、負けまいと口を開かなかった。

私がなんか言っても、またそれにのっかってくるに決まってる。
この二人はとにかく何かを言いたくて仕方ないんだから、言わせてやらないんだ。笑

『もう。麻里ちゃんたら頑固なんだから〜』

『ってかね、大輔さん。この子孝之さんのこと探してたよ』

『あっ。やっぱり??好きだな〜麻里ちゃんも』

『しかも麻里ちゃん。今日は二回も私に騙されたの〜』

『まぢで??かわいいなぁ〜麻里ちゃん♪』


私が黙り続けると、今度は二人で勝手に話を進め始めた。

この二人は、どうしたって私をいじりたいらしい。

まぁ。
負けないけどね。



『おい〜いい加減しゃべろよ〜』

『麻里ちゃ〜ん』

いい加減二人だけでのやり取りが飽きたのか、今度は私のほっぺを突いたり、摘んだりしてきた。


『…ふっ…』

『おっ!!笑いそうですよ。奈美さん』

『ほら笑って♪麻里ちゃん』

必死になる二人。
私はだんだん、おかしくなってきた。


『はははっ。もお〜!!笑っちゃったぢゃん』

あまりに二人が必死にやるから、負けてしまった。

くそ〜!!
我慢するって決めたのに!!


『はい。おはよ〜』
私が悔しがっていると、ちょうど担任が教室に入ってきた。
私たちはそれぞれの席に座り、ホームルームが始まった。


私たち三人の一日は、いつもこんなおかしなひとこまから始まる。
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