妹の恋人[完]
大野君という親友ができてから、カナコ一色だった俺の生活が少し変わってきた。

部活や勉強は今まで通りがんばっていたけど、学校が早く終わった日に大野君の家で遊ぶことも増えてきた。

一緒に宿題をやることもあるし、俺が持っていないゲームを教えてくれたのも大野君だ。

母さんは俺が友達と遊ぶようになってとても喜んでくれていたけど、カナコは不満だったらしい。

おにいたん、かえってこないねぇ?といつも言っていたと、カナコが中学生くらいの時に母さんが笑って教えてくれた。

カナコが幼稚園に入ったとき。

俺は学校を休んで入園式に行きたかったけど、それができるはずもなく。

俺だけのカナコが、どんどん成長していく。

俺から離れて、新しいお友達と楽しい時間を過ごしている。

とっても複雑な気分になったけど、それはいいことなんだし、何より楽しそうに幼稚園での出来事を話してくれるのがとてもうれしかった。

「おにーちゃん、あのね、あのね」

夕飯の時間は俺とカナコの大切な時間。

この時間、仕事で忙しい父さんが一緒に過ごすことはめったにないけど、母さんと俺とカナコ。

3人でいつもカナコの幼稚園の話を聞いて、笑っていた。
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