妹の恋人[完]
ああ、やっぱり。ワタルはカナコを中学生だと思っているんだ。

「俺が勉強教えてあげるって!」

「あはは」

こらえきれずに笑ってしまった俺に、ワタルは不思議そうな顔をして頭に?をたくさん浮かべている。

「ごめん、カナコはまだ小学3年生なんだ」

「えーーーー!!!」

体育館に残っていた数名の部員が、ワタルの叫び声に反応して近くへ寄ってきてしまった。

「どうした?」

声をかけてきたのは、片付け終わって体育館を出ようとしていた松本先輩。

「え、いえあの・・・コウヘイの妹が3年生って話をしてて」

はははっと乾いた笑いのワタルに、笑いが止まらない俺。

「へ~、妹ちゃんもここ受験するの?」

ワタルと同じように中学生だと思ったらしく、なんでそんなにおかしいの?と不思議そうな松本先輩。

先輩と一緒に部室へ戻りつつ、中学生ではなく小学生だということを伝えると、松本先輩も同じように驚いた。
< 103 / 587 >

この作品をシェア

pagetop