妹の恋人[完]
「おにいちゃん!気がついた!?」

涙でぐちゃぐちゃになったカナコ。

そんなに泣かないで。

「今お母さん呼んで来るからね!」

側にいて欲しいのに、病室を飛び出していったカナコ。

体中が痛くて動けないなんて、よっぽどじゃないのか?

首は動くようで、頭だけ向きを変えて部屋を見渡すと腕には何本か点滴が刺さっ
ているようだった。

カーテンでベッドの周りが仕切られている様子から個室ではないんだろうなと想像できる。

どれくらいたっただろうか。
母さんと看護婦さんを連れたカナコが俺の元へ戻ってきた。

「もう。コウヘイったら心配したんだから」

ああ、きっと母さんも泣いたんだ。
目の周りを赤くして、俺に笑いかけてくれる。

「ごめん」

心配かけてごめんね。
< 110 / 587 >

この作品をシェア

pagetop