妹の恋人[完]
「送信!っと。でも、学校終わってから電話ってどうするの?」

お部屋では使えないでしょう?と心配そうなカナコ。

「母さんにお願いして、高橋さんからの電話に出てもらうよ」

怪我の状況説明を簡単にしてもらい、病院で俺の姿を見ても驚かないでほしいから。

再び電源を切られた携帯電話は、学校が終わる時間になったら母さんが持ち出して高橋さんからの電話を待ってくれることになった。

「そういえば、カナコ、学校は?」

「おにいちゃんが病院で目覚めないのに、学校なんて行けるわけないでしょ!」

今日がまだ平日だということを思い出して、カナコに問いかけたら、激しく怒られてしまった。

「そうか、ごめんな?」

心配ばかりかけて。

謝った俺を見て、また悲しそうな顔をするカナコ。

そんなカナコの頭をなでようと、腕を動かしてみる。少しだけ動いた俺の右腕。

それに気がついたカナコがそっと俺の右手を握ってくれた。

「痛く、ない?」

小さな両手で俺の右手を握りしめるカナコ。

「痛くないよ」

早く、カナコの頭をなでたい。
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