妹の恋人[完]
ただ、痛みは大丈夫か、など今の俺のことはとても気にかけてくれて、ずっと右手は握られたままだった。

「もう少ししたら授業が終わるよね。先生もいらっしゃるって聞いたので、私は帰るけど・・・」

本当はもう少し一緒にいたいけど、、、そうさみしそうに笑う高橋さん。

気を利かせてくれていたのか、看護婦さんが点滴のチェックに北以外は母さんもカナコも部屋へ戻ってくることはなかった。

「うん、ありがとう。来てくれてうれしかった」

手を動かしてみたら、今朝よりは指を動かすことができるようになっていて、少し痛かったけど俺の右手を握っている高橋さんの手をぎゅっと握りかえしてみた。

はっと目を開いて驚いたあと、ふふっと柔らかに笑った彼女。

「明日は土曜日だから、朝から来るね」

受付で面会時間を確認しなきゃねと笑う彼女。

そっとベッドのそばへ寄り添い、俺のおでこにキスをしてくれた。

「顔の傷はあまり大きくなくてよかったね」

握っていた手を放し、俺の頬をそっとなでて部屋を出ていく高橋さん。

今体温を計られたら、絶対に熱があるって言われるんじゃないだろうか。

自分でも耳まで赤くなっているのもわかるし、体中が熱を持っているようだ。

怪我をしていても、体中が痛くても、高橋さんにどきどきしている俺。

彼女に心配掛けないためにも、早くなおさなければ。
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