妹の恋人[完]
その後、父さんが来て加害者だという車の運転手が俺に謝罪をしたい、とあいさつに来てくれた。

とても腰の低い人で、こちらが申し訳なくなってしまうくらい何度も謝ってくれて。

俺が完治するまで、ちゃんと責任をとりますから!と力説されてしまった。

なんだか俺も申し訳ない気分になってしまって、でも苦笑いしかできなくて。

すべて父さんに任せるしかないので、その後のことは俺には分からないけど、誠意をもって対応してくれたらしい。

夜になり面会時間ぎりぎりに担任の先生がやってきて、しばらくお休みになるだろうけど、その間のことは大丈夫だから、とあれこれ説明してくれた。

そうか、学校を休むってことは、授業も出れないってことで。

長く休めば休むほど、取り戻すのも大変なんじゃないの?なんて冷静に考えちゃったり。

痛み止めをもらい、その日の夜はなんとか寝付くことができた。

翌日は土曜日で、宣言通り朝の面会時間開始から会いに来てくれた高橋さん。

食事も普通食になり、右腕も昨日がうそのように動くようになって。

それでもまだ痛みは消えていないので、動かすたびに痛むけど、先生は動かした方がいいって。

だから、食事もできるだけ自分で食べたいと思っていたけど、母さんと高橋さんがあれこれ世話をしてくれるのでほとんど寝たきり状態で過ごした。

午後になると同じクラスに相沢が彼女の加藤さんとお見舞いに来てくれて、なんだか意味のわからないのろけ話を聞かされたり、ワタルが花束を持って現れたりして。

体中まだまだ痛いし包帯だのなんだので体中もぼろぼろだけど、それでも大切な仲間の笑顔に救われた。
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