妹の恋人[完]
怪我の経過もリハビリも順調だったのに、なんだか気分が浮かないのはやはりバスケットができないからなんだろうか。

こんなにも自分があきらめの悪い人間だったなんて、思いもしなくて。

いつまでもふっきることのできない自分に、なんだか情けなくもあって。

「おにいちゃん、お帰り!」

俺よりも先に一人で帰宅していたカナコが、玄関で迎えてくれた。

少し前までは嬉しそうに俺にしがみついてきてたカナコも、今ではそんなことはまずしなくなってしまったし。

なんだか、さみしい気持ちがいっぱいで、泣きたい気分だった。

「どうしたの?悪かったの?」

元気のない俺を心配してくれるカナコ。

「大丈夫、順調だったよ」

笑顔で安心させるつもりが、どうやらキチンと笑えてなかったようで。

靴を脱いでスリッパに履き替えた俺に、ぎゅっと抱きついてきた。

「元気出せ!」

背中に手をまわして、ぎゅーっと俺を抱きしめてくれるカナコ。

「・・・ありがとう」
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