妹の恋人[完]
そんな小さなカナコをぎゅっと抱きしめ返して、元気をもらった。

「さ、こんなときはおやつだよ!」

甘いもの食べよう!なんて俺の手を取ってリビングへ。

おやつって俺何歳だよ!?

一生懸命に慰めてくれるカナコがおかしくて、かわいくて。

さっきまでの落ち込んだ気分はどこへ行ったのか、本当にカナコから元気をたくさんもらった。

カナコお勧めのチョコがあるとかで、新作のチョコレート菓子をもらった。

甘いチョコレート。確かに、カナコが好きそうだ。

一生懸命このチョコレートのどこがすごいのか、俺にはよくわからなかったけどとにかくカナコが今一番気に入っているチョコレートらしくて。

横で母さんも笑いながら一緒に聞いていた。

母さんが入れてくれたコーヒーを飲みながら、そんなカナコの話を聞いて、なんだかいろんな意味でカナコにはかなわないなぁなんて。

その後、宿題があるからというカナコは部屋へ戻っていき、しばらくしてからすぐに俺を呼びにきた。

リビングで一緒に宿題をしながら、カナコの質問に答えてやる。

ずっとこうしてカナコの宿題を見てやっていて、わからなかったことが理解できた時のカナコの顔がうれしくて。

そうか、人にものを教えるという職業も悪くないのかも、なんて思ったりして。

「先生、かぁ」

宿題を終えてマンガを読み始めたカナコを横目に、自分の勉強もリビングでやることにした。

たまには、いろんな音がするなかで勉強するのもいいかも。

「先生がどうかしたの?」
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