妹の恋人[完]
バレンタインデーだから、というのもあって、バスで駅前まで出てカフェでお茶をしてから帰ることにした。

温かいコーヒーをオーダーして、窓際の席で今日学校で会ったことなどを話したりして。

「女の子たちも朝からそわそわしていたけど、それ以上に男の子が気にしていて面白かったわ」

クラスの男子を観察して笑っていたという高橋さん。

実際に新しいカップルが誕生したりしていたらしい。

「私のチョコレート、今日一番だった?」

しばらくして、俯き加減でそんなことを聞いてくる高橋さん。

なんだかかわいくて、笑ってしまった。

「ごめん、一番じゃなかったんだ」

え!っと驚いて顔をあげた高橋さんが、泣きそうな顔をしていて、あせってしまった。

「いや、あのカナコが・・・」

朝起きてすぐに、俺の部屋へチョコレートを持ってきたカナコ。

いつもよりも早起きして、一番に俺へチョコレートを渡したかったと言ってくれた。

それを聞いた父さんがやきもちを焼いていたけど、ちゃんと2番目にもらっていたし。
< 161 / 587 >

この作品をシェア

pagetop