妹の恋人[完]
「そっか、そうだよね、カナコちゃん・・・」

呟くようにカナコの名前を口にした高橋さん。

他の人からのチョコレートは今まで毎年それなりにもらっていて。

甘いものは苦手じゃないけど、それでも沢山は食べたいと思わないのでほとんどがカナコのおやつになっていた。

今年は、高橋さんからだけもらえればいいと思っていたので、ほかの人からのはすべて断るつもりでいたんだけど。

でも、カナコは妹で、断るなんて頭にはなくて。

「・・・ごめん」

すごく悲しそうな高橋さんに謝ったものの、どうしたらいいのか。

「私ね、いつもカナコちゃんにすごいやきもち」

下を向いたまま、消えそうな声でそうつぶやく高橋さん。

「コウヘイ君の妹なのに。いつも一番で、やきもち焼いちゃう」

そんな自分も嫌なの。

悲しそうに笑った高橋さんのほほを、小さな涙がつたった。

「サトミ・・・」

「彼氏の妹にやきもちなんて、変だよね」
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