妹の恋人[完]
ふと我にかえって視線をあげると、近くの席に座っているお客さんと目が合ってしまった。

すぐにそらされた視線に、顔が赤くなってしまう。

「・・・サトミ、出ようか」

そっと耳元に囁くと、お店の中でさらに窓際の席だったことを思い出したのか、耳まで赤くなった高橋さん。

二人で照れながらも、あわてて会計を済ませてお店を出た。

自然とつながれた手がうれしくて、ぎゅっと握ったままゆっくり歩く。

外は暗くなってしまい、空気もとても冷たかった。

でもつながれた手はとても暖かくて。

バス停でバスを待つ間も、なんだか心の中は一足先に春が来たかのようで。

「今日はありがとう。ごめんね?」

でも、気持が聞けてうれしかった。

人の少ないバスの中で、俺の肩に頭を乗せた高橋さん。

繋いだままの手を持ち上げて、手の甲に口づける。

「チョコレート、家に帰ったら食べるね」

ありがとう、と高橋さんのおでこにキスをした。
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