妹の恋人[完]
「どうして断ったこと知っているの?」

「だって、中学の時あんなにたくさんもらっていたのに、今年は無しなんて思わないよ」

コウヘイ君人気あるからね。知らなかった?なんて俺の顔を覗き込みながら笑う高橋さん。

「そうかな。でも、本命から1つもらえたからそれだけでうれしかったんだけど」

沢山の女の子にもらうよりも、たった一人からもらった方がうれしいと思うのは、俺が高橋さんを好きだから。

「ありがとう」

そっと、横に座っている俺の手を握りしめてくれた高橋さん。

窓から差し込む温かい光と同じで、彼女の手もとても暖かかった。

午後の授業もあっという間に終わり。

塾のある高橋さんと途中まで一緒に帰り、俺はそのまま駅前の塾をいくつか回って資料を集めた。

春からどこかの塾へ通おうと決意し、どこがいいのか決めかねていた。

志望大学が決まっているならそこを目指すための塾を選べばいいと思っていたけど、どの塾もおれの目指している大学への合格者を同じくらい出しているようで、どれも決め手に欠けていた。
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