妹の恋人[完]
自分が4年生だったころのことを少しだけ思い出し、なんだかおかしくて笑ってしまった。

俺が4年生だった時も、クラスに青木君のように明るくてひょうきんな子がいたっけ。

「あ、おにいちゃんひどい!どうして笑うの?」

真剣に青木君について語るカナコ。

それはきっと、まだ恋にもなりきれない、恋に恋しているような感覚に似ているんじゃないだろうか。

なんていうか、恋する前の憧れとも少し違う・・・。

「ごめん、なんだかカナコがかわいくて」

カナコの頭をくしゃくしゃっとなでる。

いつまでも赤ちゃんじゃなくて、ちゃんと成長しているんだと思うと、うれしい反面なんだかさみしくて。

これじゃまるで、娘を心配する父親だな。

おじさんくさく考えてしまう自分がおかしくて、なんだか笑いが止まらなくなってしまった。

「もう!おにいちゃん!」

笑い続ける俺に腹が立ったのか、お部屋に戻る!と歩きだしてしまったカナコ。
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