妹の恋人[完]
部屋へ戻ると、外から帰ってきた父さんと母さんが、今度は日本酒を飲んでいて。

とにかくご機嫌で、二人の世界が出来上がっていた。

イスに向かい合わせで座り、外の景色を見ながらお酒を飲んでいる二人。

昔からずっとだけど、仲のいい夫婦で父さんが単身赴任していた時も毎日必ず電話で連絡を取り合っていたほどだった。

そんな二人をみて育っているから、家族の仲ももちろん良かったし大好きな人と結婚すると幸せになれるんだって信じてる。

「あらカナコ、アイス買ってもらったの?よかったわね~」

まるで幼稚園児にでもするかのように、いいこいいこと口に出しながら頭をなでる母さん。

「もう、お母さん!」

お酒でご機嫌な母さんには、何を言っても無駄だとわかっているカナコは、抵抗こそしないけど恥ずかしそうに残りのアイスを食べていた。

そんな二人の姿を見ながら笑っている父さんも幸せそうで。

俺も、この家族が大好きだなーって。

高校生になってもこうして家族で旅行へ来て、幸せを実感できることがなんだかくすぐったくて。

夜は4人で布団を並べて眠ったんだ。
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