妹の恋人[完]
ケーキを受け取り、バス停でバスが来るのを待っている間、近くに見えている本屋を眺めながら高橋さんが笑っている。

こうして小さな思い出がたくさん増えていくのが楽しくて、思い出すのもくすぐったくていい。

バスがやってきて、少し混んでいたけど一番後ろが一つだけ開いていたので高橋さんに座ってケーキを持ってもらう。

俺はすぐ横に立って500円分の今年のプレゼント交換はどんなものにしたのかで盛り上がった。

内容はお互い秘密で、いつどこへ買いに行ったかなどを話しているとあっという間に最寄りのバス停で。

バス停から歩いて家へ向かうと、家の前でクリスマスオーナメントの電気をつけているカナコとハナちゃん。

「あ、おにいちゃん、おかえり!」

速かったね!と玄関を開けて迎え入れてくれた。

今年の飾り付けは去年よりも気合が入っているようで、玄関からもうクリスマスで。

高橋さんと一緒にリビングへ足を踏み入れると、母さんとハナちゃんのお母さんにクラッカーで迎えられた。

「メリークリスマス!」

びっくりしてケーキをおとさなくてよかったと思いつつ、テーブルの上にケーキを出す。

今年の料理も気合が入っていて、テーブルの中心には鳥の丸焼き。
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