妹の恋人[完]
カナコとハナちゃんはカナコの部屋へ行ってしまい、俺と高橋さんはリビングでジュースを飲みながらテレビのバラエティ番組を見ていた。

「テレビをゆっくり見るなんて、いつぶりだろ」

芸人さんが面白いことを言いながらせわしなく動き回っている姿をみて、声をたてて笑う高橋さん。

「俺もだなー」

勉強三昧で、はやりの芸能人も知らない俺。

知っているといえば、カナコから聞く名前くらいで。

音楽だって、クラスの友達に薦められたものくらいしか聞かないようになっていて。

「いよいよ受験だよね」

年が明けて春が来たら、俺たちは高校3年生になる。

「今のままの勉強で大丈夫って先生は言うけど、なんだか不安なの」

志望校にA判定でいる高橋さんと俺。

あくまでA判定ってだけで、決して合格したわけじゃなくて。

「中学の頃からずっと頑張ってきたの。どうしても医学部に合格したい」

ずっと、夢を追いかけている高橋さん。

「大丈夫。一緒にがんばろう」
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