妹の恋人[完]
急に笑い出した俺に不思議そうな目を向けて、冷めてしまったコーヒーの残りを飲み干した高橋さん。

「いや、なんか台風みたいな子だったなって」

彼が、高橋さんにとってどんな存在なのかわからないけど、今の俺には気にならなくて。

「本当にごめんね?でも私もびっくりした」

ふふっと笑う高橋さんは、やはりかわいくて。

カフェを後にし、そのままバスで高橋さんの家まで送り、わかれて帰宅した。



「え、それで帰ってきちゃったの?」

夕飯を食べながら、映画を見たこと、映画の後のカフェでタクミに会ったことなどをカナコに話すと、呆れた顔でため息をつかれてしまった。

「は?なんで?」

「だってー。おにいちゃん、そのタクミって人、ぜったいサトミさんが好きなんだって!」

5年生になるカナコの始業式は明日で、春休みもスイミング三昧だったらしく。

毎日勉強ばかりの俺とは違って、毎日スイミングで泳いでいたカナコは、健康そのもの。
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