妹の恋人[完]
ごちそうさま、と部屋に戻り、とりあえず問題集を開く。

タクミ・・・確かに、彼は高橋さんのことが好きなのかもしれないな。

でも、高橋さんの彼に対する態度は、それとは違っていて。

俺がカナコに対するのと似ていると思ったんだ。

実際、高橋さんから気持ちを聞いたわけじゃないからどうなのかわからないけど。

でも、きっと違う。恋愛感情じゃない。

自分でも不思議だけど、なんだかそれだけは自信があって、高橋さんを信じている自分がいて。

だから、そんなに気にならなかったし、目の前の問題集に集中していたらすっかり忘れることができた。

翌日からも毎日高橋さんとは顔を合わすけど、タクミの名前が出てくることもなくて。

学校の授業も、2年生までのものとは違って、とにかく受験対策!って感じで。

受験に関係ない科目の授業が俺にとっては息抜きになってなんだか無性に楽しくて。

体育の授業も、もう見学ではなくて普通に受けることができていた。

クラスメートと走り回り、なかなかいい運動で。

いつだったか、誰かに「浅野は体育の授業になると、ガキ見たいに走りまわる」なんて言われたっけ。
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