妹の恋人[完]
残暑厳い9月。

真夏と変わらないような日差しにめげそうになりながらも、高橋さんと一緒に登校する。

学生であふれかえっているバスを降りて学校に入ると、教室の中もやはり暑くて。

それでも、教科書を開いている人もいれば、友達と大笑いしている人もいて。

授業が始まるまでの時間を、皆が思い思いに過ごしていた。

俺も自分の席に着くと授業の準備だけしてぼーっと外を眺めてみる。

雲ひとつない、気持の良い青空だな。

遅刻しそうになりながら教室に飛び込んできた人に声をかけたりしながら始業時間を待つ。

こうして毎日が当たり前に過ぎて行って、塾へ通う日数も増えて行って。

早い人は指定校推薦で合格が決まったなんて話もちらほら聞こえてくるようになってきて。

俺と言えば、一般での受験を狙っているから、あと数カ月頑張らないとだめで。

高橋さんも同じく残り少なくなってきた受験までの時間を、ひたすら勉強につぎ込んでいる感じだった。
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