妹の恋人[完]
1月のセンター試験本番を目指して、今年ばかりはクリスマスもお正月もない感じで、ずっと塾との往復で。

家族も俺に気を使って楽しい年末年始というよりは静かに過ごしてくれていた。

年末に最後のプレ試験が終わり、結果を見て志望校A判定をもらうことができた。

今のままならまず大丈夫と塾の先生にも言われ、気を抜かないようにがんばって。

いよいよ3学期も始まり、学校の授業も受験ムードで。

授業中にほかの教科の内職をする生徒も増えてきたけど、先生たちも見て見ぬふりをしていてくれた。

1月下旬、いよいよ受験本番。

ここまで風邪をひくこともなく、自分なりに頑張ってきたと思う。

「忘れものはない?」

俺以上に緊張しているであろう母さんが、朝からそわそわしながら俺を見送ってくれる。

試験会場まで送ると言ってくれたけど、いつもどおりバスに乗り電車で向かうことにしていた。

事前に会場までの道のりは休みの日に何度か確認済みで間違えることはないだろう。

少し早めに家を出て、同じ会場で試験を受ける高橋さんとともにバスに乗る。

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