妹の恋人[完]
最近はまめに連絡を取ったりしていなかったんだけれど、今まで徒歩圏内で生活していたことから考えると、すごく遠くへ行ってしまうような気がしてさみしい。

学校が終わった高校生たちが増えてきた駅前を通り抜け、裏へ出るとすぐの所に目的の焼き肉屋さんはあった。

家族で何度か利用したことのあるチェーン店で、味はまあまあって所。

値段もお手頃なので、学生の利用も多い感じだった。

「うん、5分前」

遅れるよりは早い方がいいと思うけど、こういうときは時間ちょうどに来るべきなんだろうか?

バイトをすることも初めてだったら、バイトの面接を受けることも初めてで。

受験で経験した面接とはまた違う緊張感で、どきどきしながら準備中の看板がかかっている店の扉を開ける。

「こんにちはー」

まだ開店はしていないけど、電気のついた明るい店内はバイトらしい人が掃除をしている最中で。

「あ、面接の人?ちょっと待ってて、店長~」

一人の男性が気が付いてくれて、奥へ店長を呼びに行ってくれた。
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