妹の恋人[完]
俺と同じくらいだろうか?それとも高校生?

明るめの髪に着崩したシャツとジーパンといった格好に店のエプロンをつけていた彼。

奥の方に同じようにエプロンをして掃除をしている人がいるようだけど、顔がはっきり見えなかった。

「お待たせしました、店長の大野です」

奥から出てきたのは50歳くらいだろうか、人の良さそうな男性で。

「はじめまして、浅野コウヘイです」

ぺこりと頭を下げて挨拶をすると、店長はにっこり笑って俺を奥へと連れて行ってくれた。

「さっそくだけど履歴書を拝見できますか?」

奥にある事務所で進められるままにパイプ椅子に腰掛け、履歴書を提出する。

俺の書いた履歴書を見ながら、うーんと何やら考え事をしている様子。

「バイトは初めて?」

「はい、初めてです」

そっか、とつぶやく店長は手元に置いてあった手帳をぱらぱらめくりだした。

「4月から大学生だけど、バイトは続けるつもりですか?」

「はい、できれば長く続けたいと思ってます」

そのために駅の近くを探したわけで。

「こちらとしても長期で続けていただけると助かります。いつから来れる?」
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