妹の恋人[完]
確かに、二人で来たカップルが、同じ日に時間こそずれたものの再び店をおとずれて同じものを買い求めたらおかしいかもしれない。

「ありがとう」

可愛らしくラッピングされたそれを受け取り、店員さんにお礼を言って店を出た。

来週の引っ越しまでに渡せらいいなと思うけど、同じものを買った高橋さんはフォトフレームをどうする予定なんだろうか。

何も考えずにプレゼントするつもりだったけど、はたしてそれでいいんだろうか?

なんだか考えれば考えるほどおかしい気もするけど。

でも、彼女のイメージに合うシンプルなフォトフレーム。

一人で始める新しい生活の中に、これがあったらなんか嬉しんだけどな。

一人バス停でプレゼントの入った紙袋をもちながら、バスが来るのを待つ。

帰宅のサラリーマンが増えてきて、いつのまにかバス停には列もできていて。

少し遅れてきたバスは座席が開いていないほどの混雑で、なんとか捕まるもののある場所に立つことが出来て家までの道のりを過ごした。

最寄りのバス停で降り、高橋さんの家の前を通って帰宅すると、首を長くして待っていたというカナコが玄関先へ飛び出してきた。
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