妹の恋人[完]
「いいところだね」

その町の雰囲気がとても気に入った俺。

「そうでしょう?ここなら一人でもさみしくなさそう」

ふふっと笑った高橋さんも、この町をとても気に入っているようだった。

「大学が始まったら、また勉強だけの日々がやってくるけど、遅くまであいているお店も多いから」

帰りが遅くなっても食事などに困ることはなさそうなのよ。

手をつないで歩道を二人でゆっくり歩きながら、気になったお店に寄ったりして。

食器などを多く扱っている雑貨屋で、気に入ったというお皿をいくつか買っていた。

「これで、コウヘイ君が来ても手料理をふるまえるよ」

上手じゃないから、毎日練習だわなんて笑っている高橋さんがかわいくて。

買った食器を右手に持ち、彼女の右手とつながっていた俺の左手に思わず力がこもってしまう。

たくさん買ったわけではないけど、やはり食器なのでそれなりに重たくて。

少し歩いて他のお店をみてから、部屋へ戻ることにした。
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