妹の恋人[完]
あはは、それは母さんに似たんだな、なんて笑う父さんに、母さんも大きく頷いていて。

「そうなの?」

「私も数学は苦手だったのよ。だからカナコの気持ちはよくわかるし、カナコに算数を教えてあげることができないのよ」

だめね~なんて笑う母さん。

同じ兄弟でも得意不得意は違うんだな。

運動が得意なところは似たようだけど、数字が苦手というカナコと数学教師を目指している俺とでは頭の中はかなり違うんだろう。

「じゃあ、俺も明日朝早いから先に寝るよ」

おやすみなさい、とキッチンを後にして自分の部屋へ戻ると、机の上の携帯が点滅していて着信があったことを知らせていた。
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