妹の恋人[完]
雨には激しく濡れずに済んだけど、さすがにおなかのすいた状態で急に全力疾走したので息が上がってしまう。

「ただいまー」

玄関を開けると、傘を片手に靴を履いているカナコがいて。

「あ、おにいちゃん!おかえり!」

そのまま俺に抱きついてきたカナコ。

「今バス停まで傘を持っていこうと思ってたの!早かったね!」

いつもバイト先を出る前に母さんにメールで今から帰る旨を伝えるようにしていたので、そこから時間を計算してくれたのだろう。

「ああ、走ってきたんだよ。ありがとう」

カナコの頭をくしゃくしゃっとして、お礼を言うとうれしそうに俺を見上げてきた。

「でもちょっと濡れちゃったね、お風呂すぐに入れるよ!」
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