妹の恋人[完]
そういえば少し前に今年こそはメダルを取るんだと張り切っていたカナコを思い出した。

そこまで打ち込めるものがあるというのはとても幸せなことで。

そして努力の結果がきちんと表れているカナコは、すごいと思う。

俺も、そんな何かを見つけたいと思うけど。

心のどこかでやはりバスケットが消えないでいることに最近気がついて。

いや、もっと前から気が付いていたけど、認めたくなかったんだ。

怪我をして出来なくなったバスケットをどうしてもあきらめることができなくて。

もう3年も経つというのに、いつまでも諦められない俺ってちょっといけてない。

「コウヘイも明日朝早いんでしょう?早く寝なさいね」

「母さんも毎日遅いんだから、無理しないでね。おやすみ」
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