妹の恋人[完]
もやもやする気持ちを振り切るつもりで、いつもよりも早いペースで走りこむ。

何も考えずに走り続けることで、すべてを忘れられるような気がして。

30分くらい走ってから帰宅すると、カナコが学校へ行くためにばたばたと準備をしているところだった。

「おにいちゃん、おはよう」

「おはよう。もう行くの?」

いつもよりも早い時間に鞄を持っているので不思議に思うと、違うよと言いながら笑っていた。

「おにいちゃんが帰ってくるの待ってたの。いっしょにご飯食べよう?」

どうやら食事をせずに待っていてくれたようで、いつも食後にやることを先にやり、食べたらすぐに家を出れるようにしていたらしい。

「ありがとう、すぐに手を洗ってくるよ」

先にシャワーを浴びたかったけど、そこまで待たせてしまうとカナコが遅刻してしまうと思い、タオルで軽く汗を拭いてからキッチンへと向かう。
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