妹の恋人[完]
「さあ、二人とも早く食べてね!」

できたての朝ごはんをカナコと二人で食べる。

母さんは先に出勤した父さんと一緒に食べてしまったらしく、朝の仕事をてきぱきとこなしていた。

「おにいちゃん、朝から電話してたでしょ」

母さんが洗濯物を干すために外へ出て行ったのを確認してから、こそっと話してくるカナコ。

電話の声が聞こえていたらしい。

「ああ、うるさかったか?」

「ううん、大丈夫。高橋さんだった?」

電話の内容までは聞こえていなかったようで、ほっと胸をなでおろしてしまう。

いつかばれてしまうけど、今は口にする気にはとてもなれそうになくて。

理由を聞かれて彼女に新しい男ができたなんて言いたくないし。

カナコにとって、高橋さんは憧れの女性でもあったようなので、悪い印象を与えたくないとも思う。

「ああ、そうだよ。忙しいみたいでなかなか連絡とれなくてね」
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