妹の恋人[完]
「はは、アツシらしいや」

彼なりに気を使ってくれたんだろう。

合コンに興味はないけど、たまには学生らしくばか騒ぎをするのもいいかもしれない。

彼の温かい気持ちを素直に受け取り、了解とだけ短く返事を送っておいた。


いつもどおりにバイトも終わり、遅い時間のバスに揺られる。

くらい外の景色をぼーっと眺めていたら、今朝の電話を激しく公開している自分に気が付いてしまった。

今朝、もし俺が電話をかけなかったらどうなっていたんだろうか?

俺は何も知らないまま、高橋さんのことを自分の彼女だと思って今まで通り生活していたんだろうか。

知らなければいい事って、実はあるんじゃないだろうか。

それとも、まめに連絡を取ったりすることもせずにいた、俺の責任だったんだろうか。

なんていうか、自業自得?

「はぁ・・・」

小さなため息をついて、なんだか泣きたくなってきた。
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