妹の恋人[完]
バスを降りて、朝は走り抜けた家までの道のりを、空を見上げながら歩いていた。

いつも高橋さんの家の前を通って帰宅していたけど。

「少し歩くかな」

なんて自分に言い訳を作り、遠回りをしてなんとなく避けて違う道を歩いてみた。

「なにやってんだろ、俺」

そんな自分がなんだか情けなくて。

別れを切り出したのは俺だけど。

振られたのも、きっと俺なんだ。

「はぁ・・・」

止まらないため息に、一日の疲れがどっと出てくる。

足取りも重く家に着くと、今日はもうカナコは眠ってしまっているようで。

珍しく、俺よりも先に父さんが帰宅していて、母さんと二人でDVDを見ながらお酒を飲んでいた。
< 299 / 587 >

この作品をシェア

pagetop