妹の恋人[完]
2歳を過ぎて、あれこれ上手に喋れるようになったカナコ。

おにいちゃん、が言えなくていつも「にーに」と俺を呼ぶカナコ。

学校から帰ってきた俺に飛び込んできて、いつもうれしそうに笑うカナコ。

ある日、学校から帰ると小さな布団に眠っていたカナコ。

「お熱が出てね、病院へ行ったら風邪ですって。コウヘイ、移るといけないからカナコのそばに寄ったらだめよ」

苦しそうに眠っているカナコ。

ああ、どうして熱を出したのが俺じゃないのか。

俺ならあっという間に熱なんか下げて、元気になれるというのに。

荒い息で苦しそうなカナコを見ていると、カナコに何もしてあげられない自分が悲しくて。

自分の部屋で宿題をしながらも、カナコが気になって集中できない。

家事をしている母さんの目を盗んで、眠っているカナコの手をそっと握ってそばにいた。
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