妹の恋人[完]
「今ご飯するからね」

「あ、いいよ。自分でやるからそのまま観てて」

帰宅した俺の夕御飯を温めなおそうとソファを立ちあがった母さんを静止して、これくらいのことは自分でやれるようにならないと、なんて思いながらキッチンへと向かう。

テーブルの上に丁寧に並べられてラップのかかった俺の食事を、遠くから母さんに支持されるがまま電子レンジへ入れたり、ご飯をよそったり。

自分でやるといいつつも、結局は母さんに遠隔操作されているだけで。

「はぁ・・・」

すべてが情けない感じ。

「いただきます」

温かい夕御飯を食べながら、ふと携帯電話を取り出してみる。

着信履歴もメールの受信もない、静かな携帯電話。

メモリを勢いよく消去した割には、彼女からの連絡を心のどこかで待っているあたり、本当にもう・・・。

食事を終え、お風呂に入ってすぐに自分の部屋へ行く。

今日はもう何もやる気になれずにそのままベッドへダイブした。
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