妹の恋人[完]
「んー、おかねないし、今車は必要じゃないからなあ」

家には父さんの車があるし、平日は電車で出勤しているので普段はそれに母さんが乗っていて。

頼めば車を貸してくれるらしいのでしばらくは買う予定もなくて。

「そっかー。私はねぇ、ほしい車があるんだー」

いつものように、甘いお酒を飲みながら俺の横で笑っているカヨちゃん。

どこへ行くにも、このメンバーだと俺の隣はカヨちゃんといつの間にか決まっているようで。

「へー、どんなの?」

聞けば外国メーカーの青い車で。

可愛らしい丸いその車が、カヨちゃんのイメージになんだかピッタリで思わず笑ってしまった。

「え、何で笑うのー?」

そんなに変かなぁ?なんて腕を組んで悩みだしてしまったカヨちゃんの頭にぽん、と手を乗せると、びっくりしたように顔をあげた。

「いや、変だとは思っていなくて、似合うなと思って」

そう言ったあと、カヨちゃんを見ると俺を見上げている顔が赤くて。
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