妹の恋人[完]
飲み過ぎたのかな?とも思ったけど、はっと自分がカヨちゃんの頭に手を置いたままだったことを思い出した。

「あ、ごめん、つい・・・」

カナコのつもりで思わずてが伸びてしまったけど、普通女の子にこんなことしないよな。

「つい・・・?誰かと、間違えた?」

自分の右手で髪をかきあげると、ふぅっと小さくため息をついたカヨちゃん。

「コウヘイ君、誰にでもこういうこと、するの?」

「え・・・」

じっと俺を見つめてくるまっすぐなその瞳に、目をそらすことができなくなって。

一瞬、ここがカラオケだということを忘れてしまうほど。

「あのね、友達として言わせてもらうけど」

くしゃくしゃ、と自分の髪を手で動かし、小さくため息をついたカヨちゃん。

「女の子はね、こんな風に気軽に触れられると、期待しちゃうんだよ」

だから、なんとも思っていない子に、こんな風に触れちゃダメ、と強く言った彼女が、俺の頭に手を伸ばしてきて。
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