妹の恋人[完]
鍵を開けて皆を部屋へ入れてくれたカヨちゃんは、素早く窓を開け、こもった部屋の空気を入れ替えてからエアコンのスイッチを入れてくれた。

「すぐ涼しくなるからね」

家具は少なくて、シンプル。

従姉が置いて行ったというソファーセットはとても広くて、8人でも座れるほどの立派なもので。

いったいどんな仕事をしたら独身の女性がこんなにすごい家に住むことができるんだろう?

来る前に寄ったコンビニで買ってきたドリンクやつまみを出して、テーブルの上に並べる。

俺だけじゃなくて皆が興味深々と言った感じで、そわそわしながら部屋の中をうろうろしたりして。

「カヨー、ここって何部屋あるの?」

「すごいよねぇ、お風呂も広いの?」

女の子は遠慮がないようで、気になったことを全部質問している感じで。

男はただすげーとつぶやいている感じだった。

皆でおもいおもいに座って、再び飲み始めた者もいれば、部屋にあった映画のDVDを勝手にセットしてみ始めるやつもいたりして。

騒ぐというよりも、皆でゆっくり飲んでいた。

俺はソファから離れてカウンターのイスに座り、ひとりで水を飲んでいて。

遠くで流れる映画のタイトルが思い出せなくて、なんだったかなぁなんて考えていた。

「コウヘイ君、何考え事ー?」
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