妹の恋人[完]
ふらふらしながら歩いてきたのはカヨちゃんで。

「飲みすぎじゃない?」

なんだか部屋に圧倒されて飲む気になれなかった俺は、カヨちゃんの部屋へ来てからは水しか飲んでいなかったので、お酒もすっかり抜けてしまった感じだ。

「ふふふ。やっぱ仲間っていいねー」

俺の横に座り、冷蔵庫から取り出した水をコップに注ぎ、一気に飲み干した。

「・・・いい飲みっぷりで」

ごくりごくりと喉を鳴らしながら、気持の良い飲みっぷりを披露してくれて。

なんだかどこかで見かける親父のような雰囲気に、笑いが止まらなくなってしまった。

「笑いすぎー」

そんな俺を見て、ほほを膨らましてすねているカヨちゃん。

カウンターに背を向けて座りなおし、遠くで流れている映画を見ている姿を見て、なんだか表情がとても悲しそうで。

「カヨちゃん?」

俺が笑いすぎたことで傷ついたんだろうか?ドキドキしながら名前を呼ぶと、泣きそうな顔で俺の方を見て。

「コウヘイ君、泣いても、いい?」
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