妹の恋人[完]
どんな関係でもなく、友達には変わりないけど、うまく説明できなくて。

「ふふ。誘惑しちゃったの」

さっきまで泣いていた顔はどこへ行ったのか。

笑顔で何もなかったかのように皆のもとへ歩いてく彼女を見て、なんだか守ってあげたいという気持ちが強くなっていた。

この気持ちって・・・。

「やーだ、カヨ~飲みすぎ~」

女の子たちがカヨちゃんをからかって楽しんでいて。

俺は、そんな姿を見ていて、なんだかどきどきしていて。

「なーに見とれちゃってんの?」

いつの間にかそばへ来たアツシが、勝手に冷蔵庫を開けて冷えたビールを取り出していた。

「え?」

「はは、お前意外とわかりやすいのなー?」

アツシいわく、自然と目でカヨちゃんを追っているようで。

言われてみれば、カヨちゃんとよく目が合うなとは思っていたけど。

「アツシは・・・」
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